グラウンドワークでは馬との距離間パーソナルスペースを学びます。馬に接している方なら一度や二度嚙まれたり蹴られたりした事があるのではないでしょうか。草食動物とはいえ葉やニンジンを嚙んだりすりつぶすことの出来る馬の歯は噛まれると結構痛いものです。
私の担当馬ですと普段は噛みませんが、運動が終わって洗い場に繋いでいた時、声をかけられお喋りをしていたら、「ちょっと僕の事忘れてません!?」という感じで二の腕をかぷっと甘噛みされてしまいました。つねったような痛みですが軽くでも痣や内出血になります。それが怒っていたり不機嫌だったり本気で嚙まれたら出血したり指の骨が折れてしまうこともあります。そういった事がないように普段から馬とのパーソナルスペースを意識しておくことが大事です。お互いの安全で快適な距離感を提示していきます。
例えば
洗い場で馬を馬装している時は1メートルくらいは距離をとれるスペースを確保する。耳を後ろに伏せて威嚇している表情で鼻先をこちらに向けてきたり歯をむけてきたら、自分の安全なパーソナルスペースを脅かしているので声で注意をしたり、鼻先を叩いて距離をとらせたり噛まれる前に注意を促す事が大事です。それでも不意に嚙まれてしまう事はありますが普段から距離感を意識しておくことが大切です。
会員さんからよく聞かれるのはスタッフにはなぜ馬たちは素直なのか?馬房に迎えに行った時の態度や頭絡を付ける際も頭を高く上げていじわるすることも無い…
普段から馬達とは緊張感と安心感を使い分けています。良くない行動行為に対してはいけないよという態度と言葉、不安感や元気が無い時には緊張感は出さず、ゆっくり呼吸し柔らかく気持ちに寄り添うようにする。雰囲気の話にはなりますが馬は感受性がとても強い生き物なのでそういった雰囲気を察することができます。言葉が分からない赤ん坊が親の表情や心や言葉のイントネーションを感じるように。
あとは人のアドレナリンを察知する嗅覚も備わっているいるそうです。草食動物が肉食動物から逃げる本能でもあります。だから緊張してる人に対してはこの人は信用できませんという態度を示すんだと思います。また人の匂いを嗅ぎ分けて覚える事もできます。
そこで馬に接っする時にはまず挨拶として、馬が鼻をすーっとこちらに向けた時に手の甲の匂いをかがせます。それを会うたびに繰り返すことで匂いで人を覚えてくれます。そこからコミュニケーションを始めることが基本だとグラウンドワークでは習いました。なるほど、動物ならではのコミュニケーション方法だなと知りました。朝クラブに来て馬達に会うと、鼻先をこちらに伸ばしてくるので無意識に鼻を撫でて挨拶をしていました。それは意味のある行為だったんだなと納得しました。
言葉で話し合えないからこそ今何を感じているのかを常に考え、適切な距離感を意識してみて下さい。本当の信頼関係を築くためには時間とコミュニケーションが必要です!いつか心を開いて自分にしか見せないような無邪気な表情を見た時本当に幸せな気持ちになります。